主訴
2025年6月頃に来院されました。
1年前から左膝の内側に痛みを感じるようになり、最近では歩き始めや長時間の農作業後に強い痛みが出現するとのこと。特に畑でのしゃがみ込みや立ち上がり動作で痛みが増強し、膝に引っかかるような違和感とこわばりを自覚しているそうです。
長年農作業に従事されており、しゃがむ・立ち上がる動作を繰り返す生活を続けてきた状況。数年前から膝の違和感はあったものの徐々に痛みが増悪し、現在では作業量を減らさざるを得ない状態になっていました。
特に冬場は症状が強く、動き始めに時間がかかるとのことでした。
症状が改善したらしたい事:
- 畑作業をできる範囲で続けたい
- 歩き始めの膝の痛みを軽減したい
- しゃがみ込み動作を少しでも楽にしたい
- 日常生活を自立して送りたい
初回施術
左膝内側関節裂隙部の圧痛、膝関節の軽度腫脹および熱感、大腿四頭筋および内転筋群の筋力低下、膝関節屈曲時の疼痛増強、歩行開始時の跛行を確認しましたので、
- 過度なしゃがみ込み動作の制限指導
- 膝関節周囲の血流改善を目的とした手技療法
- 大腿四頭筋・内転筋群の筋緊張緩和を目的とした鍼灸施術
- 膝関節可動域改善施術
- 農作業時の動作指導(負担分散の工夫)
を行いました。
施術後、膝のこわばりが軽減し、歩行開始時の動きやすさがやや改善したとのことでした。
2回目の施術(2日後)
痛みは残存するものの、動作開始時の強い痛みはやや軽減していましたので、
- 膝周囲および大腿部の筋緊張を緩和する手技療法
- 鍼灸施術(局所:膝内側〈関節裂隙部〉・大腿四頭筋・内転筋群への刺鍼、遠隔:下肢循環改善および疼痛緩和を目的とした経穴への刺鍼)
- 膝関節アライメント調整
を行いました。
また、軽い膝周囲ストレッチと畑作業前の準備運動をご指導し、しゃがみ込み動作の回数制限についてもご説明しました。
3回目の施術(1週間後)
歩行時の痛みが軽減し、作業後の膝の腫れも軽度に改善していましたので、
- 膝関節周囲の筋緊張緩和手技療法
- 鍼灸施術(膝内側・大腿部中心)
- 電気鍼による深部筋アプローチ
- 膝関節安定化エクササイズ
を行いました。
また、軽い筋力トレーニング(椅子からの立ち座り運動、タオル挟み運動)をご指導し、農作業後のアイシング方法についてもご説明しました。
1か月後
歩行開始時の痛みが軽減し、日常生活動作は安定。畑作業も短時間であれば継続可能になったとのことでしたので、
- 大腿四頭筋・内転筋の筋力トレーニング継続
- ウォーキング習慣の導入
- 膝負担を減らす作業姿勢の工夫継続
- 体重管理の意識づけ
についてご指導しました。
2か月後
長時間の歩行でも痛みは軽減し、農作業後の腫れも減少傾向とのことでしたので、
- 下肢筋力強化トレーニングの継続
- 股関節・体幹の安定性向上トレーニングの導入
- 作業後のケア(ストレッチ・温冷療法)の継続
についてご指導しました。
3か月後
左膝の痛みは軽減し、日常生活および軽度の農作業は問題なく遂行できるようになりました。
症状は安定し再発傾向も軽度で、大切な農作業を無理のない範囲で続けられるようになったとのことです。
再発予防のための筋力トレーニング継続、無理のない作業量の調整、膝への負担を減らす生活動作を維持されています。
考察
この症例では、長年の農作業による膝関節への反復的な荷重負担と加齢変化により、膝内側関節軟骨の変性および周囲筋の機能低下が進行し、変形性膝関節症を発症したと考えられます。
初期より関節周囲の筋緊張緩和、血流改善、可動域改善を目的とした施術と生活指導を行うことで、疼痛の軽減と動作改善が得られました。鍼灸施術では局所の炎症軽減と循環改善に加え、筋バランスの調整を目的とした施術を行い、症状の安定化に寄与しました。
農作業動作の見直しと継続的な筋力トレーニングが、再発予防と機能維持に重要であったと考えています。
ポイント
農作業などの反復的なしゃがみ動作は膝関節への大きな負担となります。
大腿四頭筋と内転筋の筋力低下が症状悪化に関与するため、早期からの筋力強化が重要です。
鍼灸施術は疼痛緩和と循環改善に有効であり、動作指導と作業負担の調整、そして継続的な運動療法が症状の進行予防に不可欠です。





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