70代女性 捻挫の改善症例(自宅での転倒)

主訴

2023年9月に、「2日前に自宅で転び、右足首を捻った」とご家族に伴われご来院されました。
段差につまずき内側に強く捻り、直後から強い痛みと腫れで歩けなくなったとのこと。

日常生活で杖は使っていませんでしたが、外出時には念のため使用することがあったそうです。骨粗鬆症の診断を受けておられました。

既往歴:
高血圧、変形性膝関節症(両膝)

症状が改善したらしたい事:

  • 杖なしで安全に歩けるようになりたい
  • 日常生活での痛みをなくしたい
  • 趣味の庭いじりをまた楽しみたい
  • 転ばないための注意点を知りたい
右足首

初回施術(受傷後2日)

施術の写真

右足首の外くるぶし周りに強い痛みと腫れ、内出血を確認。
足首の動きも痛みで著しく制限され、体重を全くかけられない状態でした。

  1. RICE処置(安静・冷却・圧迫・挙上)の徹底指導
  2. 患部安静のための添え木固定
  3. 転倒リスクを避けるための松葉杖使用指導
  4. 患部以外の関節(膝・股関節)を無理なく動かす運動指導

を行いました。

痛みは強いものの、安静の重要性をご理解いただけました。

2回目の施術(受傷後4日)

腫れや熱感は少し引いてきましたが、押したときの痛みは依然として強い状態でした。

骨粗鬆症にも配慮し、

  1. RICE処置の継続指導
  2. 患部周囲へのごく優しい手技療法(循環改善目的)
  3. 鍼灸施術(腫れ・炎症抑制、痛みの緩和目的、基礎疾患・骨粗鬆症考慮し刺激量調整)
  4. 痛みのない範囲での足指の運動、ふくらはぎの軽い筋肉運動の指導

を行いました。

3回目の施術(受傷後6日)

腫れや内出血がさらに軽減し、松葉杖を使って少し体重をかけられるようになってきましたので、

  1. RICE処置の継続指導
  2. 患部および周囲への優しい手技療法(柔軟性維持、組織のケア目的)
  3. 鍼灸施術+電気療法(血行促進、組織修復促進目的)
  4. 体重を徐々にかける練習、痛みのない範囲での足首の運動(自動運動)指導

を行いました。

2週間後(受傷後2週間)

松葉杖なしで歩けるように。自分で動かしたときの痛みも減ってきました。
押した痛みは残るものの範囲は狭まっています。

  1. 患部への穏やかな手技療法(柔軟性改善、癒着防止目的)
  2. 鍼灸施術+電気療法(血行促進、疼痛緩和目的)を継続
  3. 無理のない範囲でのストレッチ指導
  4. 足首周りの軽い筋力トレーニング(タオル寄せなど)指導
  5. 安全に配慮したバランストレーニング(壁での片足立ちなど)

を行いました。

3週間後(受傷後3週間)

杖を使えば安定して歩け、軽い段差も可能になってきましたので、

  1. 患部の柔軟性・固有受容感覚(バランス感覚)回復目的の穏やかな手技療法
  2. 鍼灸施術(痛みの緩和、全身バランス調整目的)
  3. ストレッチ、筋力トレーニング、バランス練習の継続指導
  4. 杖の正しい使い方、転倒予防のための注意点指導

を行いました。

1ヶ月後(受傷後4週間)

杖なしでも平坦な場所ならゆっくり歩けるように。庭いじりも少しずつ再開されました。

  1. 患部の機能回復、再発予防目的の手技療法+運動療法指導
  2. 鍼灸施術(疼痛軽減、全身機能維持目的)
  3. ストレッチ、筋力トレーニング、バランス練習の指導
  4. 適切な靴の選択、外出時の注意点などを指導

を行いました。

2ヶ月後(受傷後2ヶ月)

杖なしでの歩行が安定し、日常生活はほぼ問題なく送れるように。庭いじりも楽しめるようになりました。

  1. 再発予防のためのセルフケア(ストレッチ、筋トレ、バランス訓練)指導
  2. 転倒予防のための生活環境整備(段差解消など)、定期的な運動の重要性を説明

を行いました。

考察

カウンセリング写真

本症例は、高齢で骨粗鬆症がある方の自宅での転倒による右足関節捻挫です。
変形性膝関節症も考慮し、全身バランスと下肢機能維持に配慮しました。

適切な初期対応に加え、早期からの鍼灸施術、段階的な手技療法、無理のないリハビリを行うことで、日常生活への復帰と趣味の再開を果たせました。

鍼灸や手技は、基礎疾患や体力を考慮し、刺激量や手技の強さを慎重に調整しています。

固有受容感覚(バランス感覚)の回復訓練と転倒予防指導が、安全な日常生活復帰と再発予防に不可欠でした。

ポイント

ご年配の方の足関節捻挫は、骨粗鬆症や基礎疾患を考慮した慎重な施術とリハビリが必要です。

鍼灸施術は、痛みの緩和、炎症抑制、血行促進に加え、全身バランス調整や筋力維持にも役立ち(刺激ご年配の方量調整が重要)、手技療法は、体力に合わせて無理なく行うことで関節可動域やバランス感覚の改善につながっています。

また、段階的で無理のないリハビリと、転倒予防のための指導・環境整備が、日常生活復帰と再発予防に不可欠です。

ご年配の方の足関節捻挫でお困りの際は、自己判断せず、早期に専門機関(接骨院、鍼灸院など)で適切な診断と施術、生活指導を受けましょう。

こころ接骨鍼灸マッサージ院 草薙院