30代女性 足底筋膜炎の改善症例(日常的な立ち仕事、抱っこなどによる足底への慢性的な負担)

主訴

2022年4月に来院されました。

数ヶ月前から続く右足裏、特に踵から土踏まずにかけて痛みがあるとのこと。
安静にしていると痛みは軽減しますが、朝起きた時や動き始め、立ち上がった際に強い痛みを感じ、園児の抱っこや移動、立ち仕事で痛みが悪化するとお悩みでした。

症状が改善したらしたい事:

  • 保育業務を痛みなくスムーズに行えるようにしたい
  • 朝起きた時や動き始めの痛みをなくしたい
  • 趣味の散歩を楽しめるようになりたい
右足裏(踵から土踏まずにかけて)

初回施術

施術の写真

右足底(特に踵骨内側前方から土踏まずにかけて)の圧痛、足関節の背屈可動域に軽度の制限、下腿三頭筋(ふくらはぎ)の強い緊張を確認しましたので、

  1. 安静の重要性を説明(可能な範囲で保育業務の調整を検討)
  2. 炎症抑制のアイシング指導
  3. 足底への負担を軽減するインソールの使用を提案
  4. 下腿三頭筋の緊張を緩和する優しい手技療法

を行いました。

施術後、痛みがわずかに軽減したように感じたとのことでした。

2回目の施術(1日後)

動き始めの痛みは依然としてあるものの、日中の痛みは幾分軽減してきたとのことでしたので、

  1. 下腿三頭筋、足底筋膜の緊張を緩める穏やかな手技療法
  2. 全身のバランス調整、鎮痛、血行促進、炎症抑制が目的の鍼灸施術
  3. 簡単なストレッチの指導(アキレス腱伸ばし、足底筋膜伸ばしなど)
  4. 温熱療法の指導(足浴など)
  5. 保育中の立ち方、抱っこの際の注意点の説明

を行いました。

3回目の施術(2日後)

動き始めの痛みが以前より少し軽減し、夕方の足裏の痛みも和らいできたとのことでしたので、

  1. 下腿三頭筋、足底筋膜の緊張を緩める穏やかな手技療法
  2. 全身のバランス調整、鎮痛、血行促進、炎症抑制が目的の鍼灸施術
  3. 足関節の可動域を広げる軽い運動療法(足首の背屈・底屈運動、内外反運動など)
  4. 保育中の休憩の重要性と具体的な方法、同僚との連携の重要性の説明

を行いました。

1か月後

日常生活での痛みは軽減し、保育業務も以前より楽に行えるように。
しかし、長時間園児を抱っこした後にはまだ痛みを感じるとのことでしたので、

  1. 下腿三頭筋、足底の筋トレ(カーフレイズ、タオルギャザーなど)
  2. ストレッチ
  3. インソールの使用、保育中のこまめな休憩、負担の少ない抱っこの仕方の提案

を行いました。

2か月後

長時間保育業務をした後の痛みも軽減し、趣味の散歩も楽しめるようになってきたとのことでしたので、

  1. 下腿三頭筋、足底の筋トレのバリエーションを増やす(階段を利用したカーフレイズなど)
  2. 保育環境の改善(椅子の利用など)、同僚との協力体制について改めて確認

を行いました。

3か月後

日常生活、保育業務、趣味において、痛みはほとんど気になくなったとのことです。
引き続き再発予防のためのストレッチ、筋力トレーニング、インソールの使用を継続してもらいつつ、さらに、定期的なセルフチェックを推奨いたしました。

考察

カウンセリング写真

本症例は、保育士という職業柄、日常的な立ち仕事や園児の抱っこなどによる足底への慢性的な負担が主な原因となり、足底筋膜炎を発症したと考えられます。

初期には、可能な範囲での業務調整による安静指導、アイシングに加え、早期から鍼灸施術と手技療法を併用することで、炎症の抑制、痛みの軽減、筋肉の緊張緩和を達成することができました。

鍼灸施術においては、局所の疼痛部位への直接的なアプローチと、下腿三頭筋の緊張緩和、全身のバランス調整を目的とした経穴選択により、総合的に不調を改善。
リハビリとして、痛みの程度に合わせた段階的な運動療法(ストレッチ、可動域訓練、筋力トレーニング)を指導することで、足底の機能回復が促され、再発予防にも繋がっています。

長期的な症状の安定のためには、インソールの使用、保育中の立ち方や抱っこの指導、こまめな休憩、同僚との連携といった職場環境の改善も不可欠でした。

ポイント

足底筋膜炎は、特定の職業における足底への慢性的な負担が大きな要因となることがあります(保育士、教員、販売員など)。
早期改善のためには、可能な範囲での業務調整による安静、冷却、足底への負担軽減が重要です。

鍼灸施術は、鎮痛、消炎、血行促進、筋緊張緩和に作用しやすく、手技療法は、下腿三頭筋や足底筋膜の緊張緩和、足関節の動きを滑らかにする作用が期待できます。

段階的な運動療法は、足底の機能回復と再発予防に不可欠です。
職業特性に合わせた動作指導、職場環境の改善、同僚との連携は、施術作用を高め、長期的な症状の安定に繋がります。

症状が改善した後も、セルフケア(ストレッチ、筋力トレーニング)を継続することで再発の予防が期待できるでしょう。

足裏の痛みでお困りの方は、自己判断せずに早期に専門機関(接骨院、鍼灸院など)を受診し、適切な診断と処置、職業生活における注意点などの指導を受けることが重要です。

こころ接骨鍼灸マッサージ院 草薙院