主訴
2024年4月に来院されました。
数ヶ月前から両手の親指と中指が曲げ伸ばしの際に引っかかるようになり、特に朝起きた時や、ピアノ演奏後やレッスン指導中など指を使う動作をした後に症状が強く出るとのことでした。
無理に伸ばそうとすると「カクン」と跳ねるように伸び、最近では軽い痛みも感じるようになったとのことです。
ピアニスト・ピアノ講師のため、仕事で長時間、手を酷使するとのことでした。
症状が改善したらしたい事:
- スムーズに繊細な演奏表現をしたい
- 仕事でストレスなく生徒に指導したい
- 痛みを感じることなく日常生活を送りたい

初回施術

両手の親指と中指の屈筋腱周囲の腫れと圧痛、指の引っかかりを確認しましたので、
- 安静にするための指導
- 炎症を抑えるためのアイシング指導
- 手技療法(前腕や手の筋肉、肩周囲の緊張緩和)
を行い、さらに、指の過度な使用を避けるよう指導しました。
また、更年期症状についてもヒアリングを行い、日常生活での注意点やリラックス方法、演奏や指導での工夫などをアドバイスさせていただきました。
施術後、指の引っかかりがわずかに軽減したように感じるとのことでした。
2回目の施術(2日後)
指の引っかかりはまだあるものの、以前よりスムーズに動くようになったとのことでしたので、
- 手技療法(前腕や手の筋肉、肩周囲の緊張緩和)
- 鎮痛、血行促進、炎症抑制が目的の鍼灸施術
- 自宅で行える簡単なストレッチの指導
- 演奏前後の指のウォーミングアップやクールダウンの重要性に関する指導
を行いました。
3回目の施術(1週間後)
指の引っかかりの頻度が減り、無理に伸ばした際の痛みも軽減したとのことでしたので、
- 手技療法(前腕や手の筋肉、肩周囲の緊張緩和)
- 鎮痛、血行促進、腱の滑走改善が目的の鍼灸施術
- 指の自動運動療法の指導
- 演奏フォームや指使いの見直し、レッスン中の手の負担軽減方法の指導
を行いました。
1か月後
日常生活での指の引っかかりはほとんどなくなり、演奏中の痛みも軽減したとのことでしたので、
- 指のストレッチ、軽い筋力トレーニング
- 肩周りの運動、手指の関節の運動
- 演奏前後のケア、レッスン中の負担軽減、 適度な休憩の励行の指導
を行いました。
更年期症状は波があるものの、手指の関節痛が軽減してきたとのことでした。
2か月後
趣味のガーデニングも以前より楽しめるようになり、朝のこわばりや肩こりも軽減したとのことです。
指のストレッチと筋力トレーニングのバリエーションを増やし、演奏時間と休憩時間のバランスの調整、指使いの意識、ストレスマネジメントに関する指導を行いました。
3か月後
日常生活、演奏、指導、趣味において、指の引っかかりや痛みはほとんど気にならなくなったとのことです。
再発予防のためのストレッチ、筋力トレーニング、手の使い方の工夫、ストレスマネジメントを継続して行いつつ、定期的なセルフチェックを推奨しました。
なお、更年期症状も安定し、集中力も以前のように戻ってきたとのことでした。
考察

この症例では、ピアニストとしての長年の指の酷使が主な原因でばね指を発症しましたが、更年期によるホルモンバランスの変化が、関節や腱の柔軟性低下、炎症の起こりやすさ、また集中力の低下に関与した可能性も考慮されます。
発症初期には、安静や冷却、適切な施術、指使いの指導、セルフケアに加え、更年期症状への配慮を行うことで、3ヶ月で日常生活や演奏、仕事に支障がない程度まで回復しました。
早期の適切な対応と、継続的なリハビリ、負担の少ない指使いや演奏フォームの習得に加え、全身的な健康状態のサポートとストレスマネジメントが、症状の改善に重要であったと考えられます。
ポイント
ばね指への対応として、まず指の安静、冷却、そして負担を軽減することが重要です。
施術では、手技療法や鍼灸施術によって、前腕や手の筋肉だけでなく、肩や首、手指の関節の緊張も和らげ、血行を促進。痛みを鎮め、炎症を抑制しました。
指に対しては、腱の滑走と可動域の改善を目指し、運動療法やストレッチ指導を行っています。
さらに、仕事の演奏における指の使い方、フォームの見直し、休憩の重要性などを具体的に説明させていただき、お客様ご自身で行えるセルフケアとしてストレッチも指導いたしました。
症状の改善度合いを慎重に評価しながら、段階的に運動療法を進めていきます。
また、更年期の症状についてもヒアリングを実施。必要に応じて全身調整の施術や生活指導、ストレスマネジメントのアドバイスも行っています。
お電話ありがとうございます、
こころ接骨鍼灸マッサージ院 草薙院でございます。