40代男性 シンスプリントの改善症例(下腿への過度な負担)

主訴

2025年2月、1ヶ月前から続く両脛(すね)の内側の痛みで来院されました。

  • 工場内での立ち仕事が中心。移動や重量物の運搬作業が多い
  • 作業中に歩行したり、重い物を持ち上げたりする際に痛みが増強する
  • 最近、作業内容が変わり、歩行距離や持ち上げる物の重量が増えた
  • 朝起きた時や仕事終わりにも痛みを感じることがある

目標は、痛みを軽減し作業効率を上げること、仕事終わりや朝の痛みを無くすこと、そして趣味のウォーキングを再開することでした。

両脛(すね)の内側

初回施術

施術の写真

両脛骨内側の中央から下1/3にかけての圧痛、下腿三頭筋(ふくらはぎ)や前脛骨筋の緊張、足関節の背屈可動域に軽度の制限を確認しましたので、

  1. 仕事内容の見直しや作業方法の改善を提案(可能であれば)
  2. 炎症抑制のアイシング指導。
  3. 作業靴の適合性について確認(必要であればインソールの使用を提案)
  4. 下腿の筋肉の緊張を緩和する優しい手技療法

を行いました。

施術後は、痛みがわずかに軽減したとのことでした。

2回目の施術(1日後)

安静時の痛みは軽減しましたが、圧痛が残っているとのことでしたので、

  1. 下腿の筋肉の緊張を緩める穏やかな手技療法
  2.  脛骨内側の圧痛点(陰陵泉、三陰交など)、下腿の筋肉の走行に沿った鍼施術
  3. 全身のバランス調整、鎮痛、血行促進、炎症抑制作用のある鍼施術
  4. 自宅で行える簡単なストレッチの指導(下腿三頭筋、前脛骨筋のストレッチなど)
  5. 温熱療法の指導(入浴など)

を行いました。

合わせて、仕事中の休憩の重要性、作業中の姿勢の注意点を説明させていただきました。

3回目の施術(2日後)

仕事中の痛みが少し軽減してきたとのことでしたので、

  1. 下腿の筋肉の緊張を緩める穏やかな手技療法
  2. 全身のバランス調整、鎮痛、血行促進、炎症抑制作用のある鍼施術
  3. 足関節の可動域を広げる軽い運動療法の指導(足首の背屈・底屈運動、タオルギャザーなど)

を行いました。

合わせて、仕事前後のウォーミングアップとクールダウンの重要性を説明させていただきました。

1か月後

仕事中の痛みが軽減し、以前よりも楽に作業できるようになったとのことでしたので、

  1. 仕事中の適切な休憩の取り方の提案
  2. 下腿の筋トレ指導(カーフレイズなど)
  3. ストレッチの指導

を行い、合わせて適切な作業靴とインソールの使用を継続していただきました。

2か月後

仕事終わりの痛みも軽減し、趣味のウォーキングも短時間であれば楽しめるようになってきたとのことでしたので、

  1. バリエーションを増やした下腿の筋トレ(片足カーフレイズなど)
  2. 仕事環境の改善(足元マットの使用など)

の指導を行い、合わせて作業方法の工夫について改めて確認いたしました。

3か月後

仕事中、仕事後、趣味のウォーキング、全てにおいて痛みがほとんど気にならなくなったそうです。
再発予防のために、ストレッチ、筋力トレーニング、適切な作業靴の使用、作業方法の工夫、定期的なセルフチェックを推奨しています。

考察

カウンセリング写真

本症例は、工場勤務における作業内容の変化による下腿への過度な負担が主な原因となり、シンスプリント(脛骨疲労性骨膜炎)を発症したと考えられます。

初期の作業方法の見直し指導、アイシングに加え、早期から鍼灸施術と手技療法を併用することで、炎症の抑制、痛みの軽減、下腿の筋肉の緊張緩和に繋がりました。

鍼灸施術においては、局所の疼痛部位への直接的なアプローチに加え、下腿の筋肉の緊張を緩和し、全身のバランスを整える経穴を選択することで、より総合的な施術作用を目指しました。

リハビリとして、痛みの程度に合わせた段階的な運動療法(ストレッチ、可動域訓練、筋力トレーニング)を指導することで、下腿の機能回復を促し、仕事への復帰をサポートしています。

適切な作業靴の選択、インソールの使用、仕事中の休憩、作業方法の工夫といった労働環境の改善も、施術作用を高め、長期的な症状の安定に不可欠でした。

ポイント

シンスプリントは、立ち仕事や歩行量の多い職業の人にも多く見られ、作業環境や動作が大きな要因となることがあります。
発症初期には、作業負荷の調整、冷却、負担軽減が大切です。

鍼灸施術は、鎮痛、消炎、血行促進、下腿の筋肉の緊張緩和に役立つ施術法であり、手技療法は、下腿の筋肉の柔軟性を高め、関節の動きを滑らかにする作用が期待できます。

リハビリとしての段階的な運動療法は、下腿の機能回復と仕事への復帰に欠かせません。
適切な作業靴の選択、インソールの使用、仕事中の休憩、作業方法の工夫は、施術作用を高め、長期的な症状の安定に。症状が改善した後も、セルフケア(ストレッチ、筋力トレーニング)を継続することが再発予防に繋がります。

下腿の痛みでお困りの方は、自己判断せずに、早期に専門機関(接骨院、鍼灸院など)を受診し、適切な診断と施術、仕事環境や作業方法に関する指導を受けることが大切です。

こころ接骨鍼灸マッサージ院 草薙院