20代女性 シンスプリントの改善症例(高頻度かつ高負荷な運動による下腿への過度な負担)

主訴

2022年10月、2ヶ月前から続く両脛(すね)の内側の痛みで来院されました。

  • フィットネスクラブで週5〜6日、複数のレッスンを担当
  • 最近、新しいステップや動きの練習に時間を費やしていた
  • 2ヶ月前から続く両脛の内側の痛み。
  • エアロビクスやダンスのレッスン中、特にステップ動作やジャンプの着地時に痛みが増強する
  • レッスン後や朝起きた時にも痛みを感じることがある

目標は、痛みなくレッスンをこなすこと、新しいダンスやステップの練習に集中すること、そして痛みのない状態で日常生活を送ることでした。

両脛(すね)の内側

初回施術

施術の写真

両脛骨内側の中央から下1/3にかけての圧痛、下腿三頭筋(ふくらはぎ)、前脛骨筋、後脛骨筋の強い緊張、足関節の背屈可動域に軽度の制限を確認しましたので、

  1. レッスン内容や頻度の見直し、運動負荷の調整を提案
  2. 炎症抑制のアイシング指導。
  3. 靴の適合性について確認(必要であればインソールの使用を提案)
  4. 下腿の筋肉の緊張を緩和する優しい手技療法

を行いました。

施術後は、痛みがわずかに軽減したとのことでした。

2回目の施術(1日後)

安静時の痛みは軽減しましたが、圧痛が残っているとのことでしたので、

  1. 下腿の筋肉の緊張を緩める穏やかな手技療法
  2.  脛骨内側の圧痛点(陰陵泉、三陰交など)、下腿の筋肉の走行に沿った鍼施術
  3. 全身のバランス調整、鎮痛、血行促進、炎症抑制作用のある鍼施術
  4. 自宅で行える簡単なストレッチの指導(下腿三頭筋、前脛骨筋、後脛骨筋のストレッチなど)
  5. 温熱療法の指導(入浴など)

を行いました。

合わせて、レッスン中の動作における注意点、痛みを我慢しないことの重要性について説明させていただきました。

3回目の施術(2日後)

 レッスン中の痛みが少し軽減してきたとのことでしたので、

  1. 下腿の筋肉の緊張を緩める穏やかな手技療法
  2. 全身のバランス調整、鎮痛、血行促進、炎症抑制作用のある鍼施術
  3. 足関節の可動域を広げる軽い運動療法の指導(足首の背屈・底屈運動、内外反運動、カーフレイズなど)

を行いました。

合わせて、レッスン前後のウォーミングアップとクールダウンの重要性について説明させていただきました。

1か月後

以前よりも痛みを感じずにレッスンを行える時間が増えてきたとのことでしたので、

  1. 徐々に練習強度を上げていく際の注意点の説明
  2. 下腿の筋トレ指導(チューブトレーニングなど)
  3. ストレッチの指導

を行い、合わせて適切な靴とインソールの使用を継続していただきました。

2か月後

ほぼ全てのレッスンを痛みなくこなせるようになり、新しいステップの練習にも集中できるようになったとのことでしたので、

  1.  レッスン後のケア(アイシング、ストレッチ)
  2. 疲労回復の重要性

の指導を行い、合わせて体幹トレーニングの導入を提案いたしました。

3か月後

仕事も趣味も充実した生活を送られています。
シンスプリントによる痛みはほとんど気にならないそうです。
再発予防のために、ストレッチ、筋力トレーニング、適切な靴の選択、レッスン前後のケア、定期的なセルフチェックを推奨しています。

考察

カウンセリング写真

本症例は、フィットネスクラブインストラクターという職業柄、高頻度かつ高負荷な運動による下腿への過度な負担が主な原因となり、シンスプリント(脛骨疲労性骨膜炎)を発症したと考えられます。

初期の運動負荷の調整指導、アイシングに加え、早期から鍼灸施術と手技療法を併用することで、炎症の抑制、痛みの軽減、下腿の筋肉の緊張緩和に繋がりました。

鍼灸施術においては、局所の疼痛部位への直接的なアプローチに加え、下腿の筋肉の緊張を緩和し、全身のバランスを整える経穴を選択することで、より総合的な施術作用を目指しました。

リハビリとして、痛みの程度に合わせた段階的な運動療法(ストレッチ、可動域訓練、筋力トレーニング)を指導することで、下腿の機能回復を促し、業務復帰をサポートしています。

適切な靴の選択、インソールの使用、レッスン前後のケア、運動負荷の調整といった運動習慣の改善も、施術作用を高め、長期的な症状の安定に不可欠でした。

ポイント

シンスプリントは、運動量の多い職業や趣味を持つ人に多く見られ、オーバーユースが主な原因となります。
発症初期には、運動負荷の調整、冷却、負担軽減が大切です。

鍼灸施術は、鎮痛、消炎、血行促進、下腿の筋肉の緊張緩和に役立つ施術法であり、手技療法は、下腿の筋肉の柔軟性を高め、関節の動きを滑らかにする作用が期待できます。

リハビリとしての段階的な運動療法は、下腿の機能回復と運動復帰に欠かせません。
適切な靴の選択、インソールの使用、運動前後のケア、運動負荷の調整は、施術作用を高め、長期的な症状の安定に。症状が改善した後も、セルフケア(ストレッチ、筋力トレーニング)を継続することが再発予防に繋がります。

下腿の痛みでお困りの運動愛好家や運動指導者は、自己判断せずに、早期に専門機関(接骨院、鍼灸院など)を受診し、適切な診断と施術、運動に関する指導を受けることが大切です。

こころ接骨鍼灸マッサージ院 草薙院