10代男性 シンスプリントの改善症例(練習量増加による下腿への過度な負担)

主訴

2024年5月、3週間前から続く両脛(すね)の内側の痛みで来院されました。

  •  陸上部に所属。専門種目は長距離。最近練習量を増やした
  • 練習開始時や終了後に痛みが増強する
  • 特にランニングやジャンプ動作で痛みが顕著になる
  • 安静にしていると痛みは軽減するが、練習を再開するとすぐに痛みが再発する
  • 靴が合っていない可能性を感じている

目標は、練習に支障なく参加すること、大会に向けて練習を継続すること、そして痛みのない状態で日常生活を送ることでした。

両脛(すね)の内側

初回施術

施術の写真

両脛骨内側の中央から下1/3にかけての圧痛、下腿三頭筋(ふくらはぎ)や前脛骨筋の強い緊張、足関節の背屈可動域に軽度の制限を確認しましたので、

  1. 練習の一時的な休止と安静の提案
  2. 炎症抑制のアイシング指導。
  3. 靴の適合性について確認(必要であればインソールの使用を提案)
  4. 下腿三頭筋や前脛骨筋の緊張を緩和する優しい手技療法

を行いました。

施術後は、痛みがわずかに軽減したとのことでした。

2回目の施術(1日後)

安静時の痛みは軽減しましたが、圧痛が残っているとのことでしたので、

  1. 下腿三頭筋、前脛骨筋、後脛骨筋などの緊張を緩める穏やかな手技療法
  2. 脛骨内側の圧痛点(陰陵泉、三陰交など)、下腿の筋肉の走行に沿った鍼施術
  3. 全身のバランス調整、鎮痛、血行促進、炎症抑制作用のある鍼施術
  4. 自宅で行える簡単なストレッチの指導(下腿三頭筋、前脛骨筋のストレッチなど)
  5. 温熱療法の指導(入浴など)

を行いました。

合わせて、運練習再開の目安、痛みのない範囲でのトレーニング方法について説明させていただきました。

3回目の施術(2日後)

日常生活での痛みは軽減し、軽い歩行でも痛みを感じにくくなってきたとのことでしたので、

  1. 下腿の筋肉の緊張を緩める穏やかな手技療法
  2. 全身のバランス調整、鎮痛、血行促進、炎症抑制作用のある鍼施術
  3. 足関節の可動域を広げる軽い運動療法の指導(足首の背屈・底屈運動、タオルギャザーなど)

を行いました。

合わせて、練習再開時の注意点、ウォーミングアップとクールダウンの重要性について説明させていただきました。

1か月後

軽いジョギング程度であれば痛みを感じずに行えるようになったとのことでしたので、

  1. 徐々に練習強度を上げていく際の注意点の説明
  2. 下腿の筋トレ指導(カーフレイズ、ヒールレイズなど)
  3. ストレッチの指導

を行い、合わせて適切な靴とインソールの使用を継続していただきました。

2か月後

ほぼ通常の練習メニューをこなせるようになり、大会に向けた練習も開始したとのことでしたので、

  1. 練習後のケア(アイシング、ストレッチ)
  2. 疲労回復の重要性
  3. フットワーク

の指導を行い、合わせて体幹トレーニングの導入を提案いたしました。

3か月後

大会に出場できるまで回復しました。
シンスプリントによる痛みはほとんど気にならないそうです。
再発予防のために、ストレッチ、筋力トレーニング、適切な靴の選択、練習後のケア、定期的なセルフチェックを推奨しています。

考察

カウンセリング写真

本症例は、練習量増加による下腿への過度な負担が主な原因となり、シンスプリント(脛骨疲労性骨膜炎)を発症したと考えられます。

初期の安静指導、アイシングに加え、早期から鍼灸施術と手技療法を併用することで、炎症の抑制、痛みの軽減、下腿の筋肉の緊張緩和に繋がりました。

鍼灸施術においては、局所の疼痛部位への直接的なアプローチに加え、下腿の筋肉の緊張を緩和し、全身のバランスを整える経穴を選択することで、より総合的な施術作用を目指しました。

リハビリとして、痛みの程度に合わせた段階的な運動療法(ストレッチ、可動域訓練、筋力トレーニング)を指導することで、下腿の機能回復を促し、練習復帰をサポートしています。

適切な靴の選択、インソールの使用、練習前後のケア、練習量の調整といった運動習慣の改善も、施術作用を高め、長期的な症状の安定に不可欠でした。

ポイント

シンスプリントは、成長期のスポーツ選手に多く見られ、練習量の急激な増加やオーバートレーニングが主な原因となります。
発症初期には、安静、冷却、負担軽減が大切です。

鍼灸施術は、鎮痛、消炎、血行促進、下腿の筋肉の緊張緩和に役立つ施術法であり、手技療法は、下腿の筋肉の柔軟性を高め、関節の動きを滑らかにする作用が期待できます。

リハビリとしての段階的な運動療法は、下腿の機能回復と練習復帰に欠かせません。
適切な靴の選択、インソールの使用、練習前後のケア、練習量の調整は、施術作用を高め、長期的な症状の安定に。症状が改善した後も、セルフケア(ストレッチ、筋力トレーニング)を継続することが再発予防に繋がります。

下腿の痛みでお困りのスポーツ選手は、自己判断せずに、早期に専門機関(整形外科、接骨院、鍼灸院など)を受診し、適切な診断と施術、運動指導を受けることが大切です。

こころ接骨鍼灸マッサージ院 草薙院