60代男性 頚椎ヘルニアの改善症例(長時間の下向き姿勢、加齢に伴う変形性頚椎症)

主訴

2024年2月に、「3ヶ月前から左の首から肩、腕、指先にかけて強い痛みと痺れがある」とご来院されました。
特に朝起きた時や、庭作業で下を向く姿勢を続けると症状が悪化し、最近では夜間に痛みで目が覚めることもあるとのこと。

退職後ご自宅での園芸に時間を費やされており、以前から首や肩のこりを感じることはあったものの、ここ数ヶ月で症状が強くなったとのことでした。

変形性頚椎症の既往歴があります。

症状が改善したらしたい事:

  • 首、肩、腕、指先の痛み・痺れをなくし、夜もぐっすり眠りたい
  • 趣味の園芸を痛みなく楽しみたい
  • 首の動きを良くし、日常生活の不快感をなくしたい
  • 再発予防のための注意点や体操を知りの
左の首から肩、腕、指先にかけて

初回施術(発症から3ヶ月)

施術の写真

左の頚部から肩、腕、手指にかけて押した痛みと関連痛(放散痛)を確認。首を後ろや左に動かすと激しい症状の悪化が見られました。

神経症状(感覚異常など)を示唆する所見も認められ、首の動きもかなり制限されていました。

  1. 安静の重要性を説明
  2. 必要に応じ頚椎カラーによる安静固定の提案
  3. 園芸作業時の姿勢指導、作業時間の制限を説明
  4. 首、肩周りの筋肉の緊張を緩和する優しい手技療法

を行いました。

施術後、首や肩の緊張が少し和らいだように感じるとのことでした。

2回目の施術(2日後)

痛みや痺れは依然として強いものの、夜間の痛みで目が覚める頻度が少し減ってきたとのことでしたので、

  1. 頚椎カラーの使用状況などを確認
  2. 首、肩、背中の筋肉の緊張を緩める穏やかな手技療法
  3. 鍼灸施術(局所・遠隔のツボを使用し、鎮痛、筋弛緩、神経症状緩和目的、変形性頚椎症も考慮)
  4. 自宅でできる簡単なストレッチと温熱療法(蒸しタオル、入浴など)の指導

を行いました。

3回目の施術(4日後)

痛み、痺れがやや軽減し、手指の痺れの強さが少し和らいできたとのことでしたので、

  1. 首、肩、背中の筋肉の緊張を緩める穏やかな手技療法
  2. 鍼灸施術(前回同様の方針で実施)
  3. 首の可動域を広げる軽い運動療法の指導(無理のない範囲で)
  4. 園芸作業時の椅子の使用や作業台の高さ調整など、作業環境の見直し提案

を行いました。

1週間後

日常生活での痛みが軽減し、腕や指先の痺れも少し楽になってきたとのことでしたので、

  1. 首、肩、背中への手技療法に加え、肩甲骨周りの動きを改善する手技療法
  2. 鍼灸施術(症状に合わせ実施)
  3. 首、肩周りの軽い筋力トレーニングの開始指導(無理のない範囲で)
  4. ストレッチ、運動療法の継続指導

を行いました。

2週間後

肩から腕の痛み・痺れが軽減し、夜間の痛みで目が覚めることも減ってきました。
首の動きも改善傾向です。

  1. 首、肩、背中への手技療法に加え、全身のバランス調整
  2. 鍼灸施術(症状に合わせ実施)
  3. 園芸作業時の姿勢を意識すること、こまめな休憩とストレッチの重要性を再確認

を行いました。

1ヶ月後

肩から腕の痛み・痺れはかなり軽減し、日常生活での動作も楽に。
夜間の痛みもほとんどなくなりました。首の動きも改善。

  1. 再発予防のための姿勢指導、ストレッチ、軽い筋力トレーニングの継続指導
  2. 園芸作業前後の体操指導
  3. 定期的なセルフチェックの推奨

を行いました。

2ヶ月後

首、肩、腕、指先の痛み、痺れはほとんどなくなり、趣味の園芸を以前のように楽しめるように。夜もぐっすり眠れるとのことです。

再発予防のための姿勢、ストレッチ、筋力トレーニング、園芸作業時の注意点の指導を行いました。

考察

カウンセリング写真

本症例は、変形性頚椎症を基礎にお持ちのところに、趣味の園芸での下向き姿勢などが頚椎への負担を増やし、頚椎ヘルニアによる神経症状を発症したと考えられます。

初期の安静や姿勢指導、作業環境の見直しに加え、早期からの鍼灸・手技による施術、段階的で無理のない運動療法を行うことで、症状の改善に至りました。

施術では、局所の症状緩和と共に、既往歴(変形性頚椎症)や全身バランス、ご年配の方であることを考慮し、肩甲骨へのアプローチや無理のない運動指導を行っています。

姿勢指導、作業環境の見直し、セルフケア(ストレッチ、体操)の実践が、症状改善と再発予防に重要な役割を果たしました。

ポイント

頚椎ヘルニアは、加齢に伴う変形性頚椎症を基礎に発症することもあります。
初期は安静にし、姿勢や作業環境を見直すことが重要です。

鍼灸施術は、痛み、痺れ、筋肉の緊張緩和に加え、変形性関節症へのアプローチも期待でき、手技療法は、首、肩、背中の筋肉を緩めることで関節の動きの改善につながります。

段階的な運動療法(ストレッチ、筋トレ)は、可動域改善と再発予防に不可欠。
日常生活や趣味における姿勢、作業環境の見直し、こまめな休憩も非常に重要です。

ご年配の方への施術や運動療法、セルフケア指導は、すべて無理のない範囲で行うのでご安心ください。

首、肩、腕の痛みや痺れでお困りの方は、自己判断せず、早期に専門機関(接骨院、鍼灸院など)で適切な診断と施術、生活指導を受けましょう。

こころ接骨鍼灸マッサージ院 草薙院