40代男性 突発性難聴の改善症例(作業姿勢による身体的負担、精神的プレッシャー、不規則な生活)

主訴

2023年7月に、「昨夜突然、右耳の聞こえが悪くなった」とご来院されました。
キーボードの打鍵音やPCのファン音が響いて聞こえ、仕事に集中しづらいとのこと。また、「ジーン」という低い耳鳴りが常に続いているとお悩みでした。
めまいや吐き気はないものの、前日まで納期直前のプロジェクトで残業が続いていたため、疲労と突然の症状にご不安な様子でした。

症状が改善したらしたい事:

  • 仕事で同僚とスムーズにコミュニケーションを取りたい
  • 静かな環境で穏やかにプログラミングに集中したい
  • 家族との会話を以前のように楽しみたい
  • 左右の耳で同じように音を聞き分けたい
右耳

初回施術(発症2日後)

施術の写真

耳周囲、首、肩の筋肉に強い緊張(こり)を確認しました。

突発性難聴の可能性が高いと考えられたため、

  1. 何よりもまず安静にしていただくことの説明
  2. 一刻も早く耳鼻咽喉科を受診することを強く推奨
  3. 耳周囲、首、肩の緊張緩和と血行促進を目的とした優しい手技療法
  4. 耳周囲、首、肩の関連するツボへの鍼灸施術(緊張緩和、血行促進、内耳機能への作用期待)
  5. リラックスできる方法(音楽など)の紹介

を行いました。
施術後、自覚的な症状に大きな変化は見られませんでした。

2回目の施術(発症3日後、耳鼻咽喉科受診後)

耳鼻咽喉科にて「突発性難聴」と診断され、ステロイド薬(プレドニゾロン)とビタミン剤が処方され、安静指示が出たとのこと。

右耳の聞こえや耳鳴りはまだ改善が見られないとご不安な様子でしたので、

  1. 耳周囲、首、肩の緊張を緩和する穏やかな手技療法
  2. 耳周囲、首、肩の関連するツボへの鍼灸施術(緊張緩和、血行促進、内耳機能への作用期待)
  3. 処方薬の継続服用と安静の重要性を再確認
  4. 可能であれば業務の一時休止を推奨

を行いました。

3回目の施術(発症5日後)

「ステロイド服用後、わずかに聞こえが改善した気がする」とのことでしたが、耳鳴りは変わらず続いている状態でしたので、

  1. 耳周囲、首、肩の緊張を緩和する穏やかな手技療法
  2. 血行促進や内耳機能への作用をさらに意識した鍼灸施術
  3. 首、肩のストレッチの指導
  4. 静かな環境での休息をアドバイス

を行いました。

1週間後(耳鼻咽喉科経過観察中)

耳鼻咽喉科の聴力検査で改善傾向が認められたものの、依然として難聴(特にPC関連の音の響き)と耳鳴りが残存しているとのことでしたので、

  1. 軽い運動(ウォーキングなど)
  2. 全身の骨格バランス調整を目的としたトムソンベッド施術
  3. 耳周囲、首、肩の筋力トレーニング( 非常に優しい体操)
  4. PC作業時間の制限と、作業中のこまめな休憩をアドバイス

を行いました。(耳鼻科での薬物治療も継続)

1か月後(耳鼻咽喉科治療継続中)

聴力は徐々に回復し、「PCの音も以前より気にならなくなった」「耳鳴りも時々感じる程度に減ってきた」と、改善を実感されているご様子でしたので、

  1. 運動療法(ウォーキング)の継続指導
  2. 耳周囲、首、肩の筋力トレーニングのバリエーションを増やす指導
  3. 質の高い睡眠のための環境改善アドバイス
  4. 業務への段階的な復帰に向けた心理的なサポート

を行いました。

3か月後(耳鼻咽喉科治療終了)

聴力はほぼ完全に回復し、業務に支障なく、耳鳴りもほとんど気にならなくなったとご報告をいただきました。耳鼻咽喉科での治療も終了したとのことです。

良い状態を維持し、再発を予防するため、

  1. 運動療法、セルフケア(ストレッチなど)の継続指導
  2. ストレスマネジメントの重要性の説明
  3. 聴覚保護(作業環境の音量管理、適切な休憩など)に関するアドバイス
  4. 必要に応じた定期的な聴力チェックの推奨

を行いました。

考察

カウンセリング写真

本症例は、納期直前の残業に伴う肉体的・精神的ストレスが誘因となり、突発性難聴を発症したと考えられます。
発症後早期の耳鼻咽喉科受診と適切な医学的治療(ステロイド等)、そして業務の一時休止を含む安静が奏功し、3ヶ月で聴力がほぼ完全に回復し、耳鳴りも大幅に軽減されました。
改めて、早期の医学的介入の重要性が示されたケースと言えます。

当院での施術は、医学的治療を補完し、その作用を最大限に引き出すことを目的としました。
具体的には、手技や鍼灸による耳周り・首・肩の筋肉の緊張緩和や血行促進、トムソンベッドによる全身バランス調整、段階的なリハビリ(運動指導)などが、残存症状の緩和・再発予防に寄与できたと考えられます。

ストレス管理やセルフケアの指導、段階的な業務復帰へのサポートも、長期的な健康維持と再発予防に不可欠でした。

ポイント

システムエンジニアなど長時間のPC作業を行う方の突発性難聴は、作業姿勢による身体的負担、精神的プレッシャー、不規則な生活などが影響しやすい可能性があります。
早期の医学的対応(耳鼻咽喉科受診)と、可能であれば業務の一時休止を含む十分な休養が、聴力の回復を大きく左右します。

当院の施術やリハビリは、医師の指示による薬物治療と安静が回復の基本であり、必ず医師の診断・指示のもとに計画を作成します。

再発予防には、作業中の適切な休憩、正しい姿勢、適度な運動、ストレス管理、作業環境の音量調整などを日頃から心がけることが大切です。
ストレス管理やセルフケア、業務復帰に関する心理的なサポートも重要となる場合があります。

耳の聞こえに急な変化を感じたら、自己判断せず、すぐに耳鼻咽喉科を受診し、業務への影響についても相談するようにしてください。

こころ接骨鍼灸マッサージ院 草薙院